ちいさなトガリネズミ
自分なりのいちにちの過ごしかた。冬の夜に読みたいお話
ささやかな暮らしを楽しむトガリネズミのお話が、3話収録された絵童話。
ひとつめのお話は「トガリネズミのいちにち」
朝早く起きていつものしたくをして、仕事(空港の両替所(!))に向かいます。忙しくしっかり働いて定時であがったら、あとは自分の暮らしを楽しむ時間。帰り道に寄るパン屋さんや、家で聴くラジオ、1週間で曜日ごとにすることも決まっているんです。(月曜は洗濯、火曜は体操、水曜はアイロンがけ、木曜はルービックキューブ、金曜は楽器の練習、土曜と日曜は1週間分の料理!)
規則正しい暮らしのなかで、ささやかなことに喜びをみつけ、自分の暮らしを全うする姿に、読み手のわたしたちまで満ち足りた気持ちに。こんな暮らしができたら・・・と、憧れすら抱いてしまうトガリネズミのいちにちのお話です。
ふたつめのお話は「トガリネズミのあこがれ」
近所のガレージセールでみつけた古いテレビ。それを購入して、初めて見た美しい景色に憧れを抱いたトガリネズミは、その気持ちを自分なりに暮らしに取り入れて、ひっそりと満たされます。質素で簡潔な暮らしを送りながら、胸の中には大きな憧れを抱く生活者としての姿に、思わず同じ目線で共感してしまうお話。
みっつめのお話は「トガリネズミのともだち」
遠くに住むともだちが年末に訪ねてくる日のお話。買い出しにでかけて料理を仕込んで、お掃除も念入りに。自分がいまできる範囲で最善のしたくをして、1年ぶりに会うともだちを迎え入れます。たくさん話していっしょの時間を楽しく過ごしたあと、ひとりになって寂しくも満たされているページを見ていると、静かだけれど年末の高揚感もあって、こんなふうに1年を締めくくれたらいいなぁとしみじみ。年末の夜に読むのにぴったりなお話です。
自分なりの暮らしに満たされ健やかに暮らすトガリネズミの存在は、きっとどの年代で出会ってもよきともだちに。その存在を自分の中に感じるだけで、心がぽっと温かくなります。
冬や年末のお話なので、クリスマスにプレゼントしたら長く楽しめて喜ばれる1冊です。
・読んであげるなら:5才くらいから
・大人にもとてもおすすめです◎
ちいさなトガリネズミ
著者:みやこしあきこ
出版社:偕成社
ページ数:71ページ
仕様:21×16
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