子どもはみんな問題児。/中川李枝子
子どもが子どもらしくいられるように
「いやいやえん」「ぐりとぐら」など、数々の名作絵本を世に送り出してきた作家の中川李枝子さん。それらの絵本が誕生した背景には、保育士として17年間、子どもたちと過ごしてきた時間がありました。
保育士時代、十人十色の個性を持つ子どもたちと出会い、またご自身もひとりの親として、子どもと接する中で気づいたこと、今子育てをしている人に伝えたいことを、手紙のようにしたためたのがこちらの本。子どもとの接し方に迷ったときや、どうしたらいいのかわからないとき。「大丈夫!」と背中にをポンとたたいてくれるようなあたたかなメッセージが45編収録されています。
「焦らないで、だいじょうぶ。
悩まないで、だいじょうぶ。
子どもをよく見ていれば、だいじょうぶ。
子どもは子どもらしいのがいちばんよ。」(まえがきより)
子育てをしていると、ついつい自分も子どもも、まわりと比較をして、不安になってしまうもの。そんな不安をおおらかに抱きとめて、子どもは「一人一人おもしろく、一人一人くせ者ぞろい」、なにも心配いらない、と子どもはもちろん、そのうしろにいる親たちにも届くあたたかなまなざしを向ける中川さん。本書で書かれている、子どもの本質や子育ての気づきとなったエピソードの中には、「いい子」でも「賢い子」でもなく、「子ども時代を子どもらしく過ごす」ことの大切さが説かれています。
すべての章のはじまりには、中川さんがこれまで手がけた絵本より、山脇百合子さんが描く絵が挿画として添えられていて、ページをめくるのが楽しみになります。
今まさに子育て中という方はもちろん、保育の仕事に携わる方や、これから子育てを始める方へおすすめの1冊です。
中川李枝子(なかがわりえこ)
作家。1935年札幌生まれ。東京都立高等保母学院卒業後、「みどり保育園」の主任保母になる。72年まで17年間勤めた。62年に出版した『いやいやえん』で厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。翌年『ぐりとぐら』刊行。『子犬のロクがやってきた』で毎日出版文化賞受賞。
子どもはみんな問題児。/中川李枝子
著者:中川李枝子
出版社:新潮社
ページ数:160ページ
仕様:17×12
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