海からの贈物/アン・モロウ・リンドバーグ

海からの贈物/アン・モロウ・リンドバーグ

煩雑な生活の中で「私自身と調和する」方法を思索する名随筆

「私たちの生活は煩雑で、気が散るものである。
そんな中、どうすれば自分自身であることを失わずにいられるか?」

本書は一人の女性が日常の雑事から離れ、どうすれば内的に、そして対外的に、調和を得られるかということを深く考え、詩的な文章で綴る随筆集です。

著者のアン・モロウ・リンドバーグは、ニューヨーク北部で夫と子どもたちと一緒に暮らし、仕事や家事、子育て、人付き合いなど、忙しない生活を送っている女性。あるとき、2週間の休暇を得て、1人で浜辺に滞在することになった彼女は、いつもの煩雑な生活から離れ、自分自身に語りかけるように、人生についての思いを綴っていきます。

本書の冒頭にこんな一節があります。

「私は何よりも先に、私自信と調和した状態でいたい。」

調和を手に入れるためには「技術」があり、それは習得できると彼女は言います。たとえば、生活を簡素にすること。今・ここに集中すること。ひとりになること。どうすればバランスを取って自分自身を満たしながら暮らしていけるのか?浜辺で見つけたいくつかの貝を例えに用いながら、その思索の過程で綴られる言葉が、私たちが今まさに感じている忙しすぎる日々への疑問や、満たされなさを的確に言い表しています。

「私にとっての解決は、この世を完全に捨てることにも、完全に受け入れることにもなくて、その中間のどこかで釣り合いを取り、或いは、この両極の間を往復する一つの律動を見つけなければならないのである」

自分の心も満たしながら、社会の中でどう生きていくか。そんな多くの人に共通する人生の課題を考えていく上で、大きな手がかりとなってくれる1冊です。

海からの贈物/アン・モロウ・リンドバーグ

著者:アン・モロウ・リンドバーグ/著、 吉田 健一/訳
出版社:新潮社
ページ数:131ページ
仕様:文庫判

海からの贈物/アン・モロウ・リンドバーグ
海からの贈物/アン・モロウ・リンドバーグ
¥605
9784102046012
在庫:3