居心地のわるい泡/平田基
記憶の中に漂い続ける哲学的漫画集
「人間の生命について制作を行う」画家・平田基による鉛筆と消しゴムのみで制作された漫画とショートエッセイ集。「曖昧模糊」と同義語の「雲煙模糊」漫画集と名付けられた通り、掴みかけたら手から離れていくような捉えどころのなさと、哲学的な問いをはらんだ作品。
生命の営み、ある世界の成り立ちの秘密、植物、雲、そして、石・・・。「うつくしく不気味で興味深い」話の数々は、読み手の記憶の中に煙のように漂い続けるような、独特の読後感。
描かれた世界は、なんとなく孤独で寂しく、分断された世界のように感じるけれど、そこには確かに自然があって人間がいて、生命に対する敬意と慈しみがある。随所にハッとするようなことばや描写が散りばめられ、そこから立ち上がってくる問いに思考が巡り続けるような奥行きのある1冊です。
鉛筆だけで描かれているからか、たっぷりと細かな書き込みがされていても、どこまでもしんとした静かな世界観。
函入り、表紙のシルバーインク。その凛とした佇まいは、棚に納めた姿も本当にかっこいいです。
こだわりの装丁も含め、なかなか出会えない1冊です。
居心地のわるい泡/平田基
著者:平田基
出版社:さりげなく
ページ数:180ページ
仕様:21×14.8/函入り
お得なクーポンや最新情報を!