パンやのくまさん
読み手を安心で満たす、健やかな暮らしのリズムでパンやを営むくまさんのお話
くまさんの1日は、朝とても早く起きて、かまどに火を入れるところから始まります。生地を「どさっ どさっ どさっ!」とこねて、パンやパイ、特別な誕生日ケーキを作ります。ほかほかに焼き上げたパンをお店に並べて、残りは車に積んで移動販売。売り切れたらお店を閉めて、夜は、暖炉の火でマフィンを焼いて食べ、一日のお金を数えて貯金箱にしまったら、安心してちいさなベッドでぐっすり眠ります。
くまさんはぬいぐるみのような愛らしい姿ですが、もくもくと丁寧に仕事をする姿は職人のようで、パンやの仕事に誇りを持っていることが伝わってきます。一生懸命働いて、ひとに喜ばれることでその対価を得て、自分の暮らしをしっかりまわす。その働きぶりはもちろん、くまさんの生活者としての充実感もこの絵本の魅力です。昨日も今日も、そして明日もきっと、くまさんはこんなふうに健やかなリズムで暮らしている。その安心感がページの隅々にまであらわれていて、読み手のわたしたちまで満たされた気持ちに。
細部まで描かれたお部屋のインテリアやお店の可愛らしさもこの絵本の魅力。ページを隅々まで見ていると、お話には描かれていないくまさんの暮らしがみえてくるようで、それもまた楽しい。
子どもが読むと、パンやさんの仕事や働くことに憧れを持てるようなお話。大人が読むと、くまさんの健やかな暮らしのリズムに心底安心するお守りのようなお話。今日1日なにもできなかったなぁって落ち込みそうな日にも、ぜひ手に取ってみてください。
もし子どもの頃に出会ったら、いくつになっても自分の本棚に在り続ける絵本になると思います。心を落ち着かせたい時に、人生でふとページを開きたくなるそんな1冊です。
・読んであげるなら、2~3才から。
・自分で読むなら、小学低学年から。
・大人のギフトにもおすすめです◎
パンやのくまさん
著者:フィービ・ウォージントン/著・絵、セルビ・ウォージントン/著・絵、まさきるりこ/訳
出版社:福音館
ページ数:32ページ
仕様:16×21cm
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