地球の上に生きる／アリシア・ベイ＝ローレル

自分の手で生活の基盤を作るための手引き

著者のアリシア・ベイ＝ローレルが、自身が経験したヒッピー・コミューンでの暮らしの知恵をイラストで描いた、工業製品に頼らず、自分の手でものを作り、大地のリズムに従った生活をするための手引き。農作業、料理、洋服の作り方や手当て法など、全ページイラスト入りで、手書きでノートに記したような本。1970年にアメリカで出版され、日本でも翻訳出版されて以降、スローライフのバイブルとして長く愛されています。

まえがきに「この本は、生活費をかせぐためにせっせと机で事務をとったりするより、森で木を切っていたいというひとのために書きました。工場で生産される消費物資になるべく頼らないようにすれば、静かな暮らしができるはずです。体には活力がみなぎってくるでしょう。大地のリズムにしたがって生活することののびやかさもわかってくるでしょう。」と書かれています。

今や携帯ひとつあればなんでも調べることができる時代。当たり前に便利な暮らしを送ることができる現代で、少しでも自分の力で生きる手段を身につけたいと考える人たちに多くの気づきを与えてくれ、身の回りにあるささやかな自然の美しさに目を向けたくなります。

著者の瑞々しい感性を感じる手描きイラストが可愛らしく、図鑑のようにパラパラとページをめくるだけでも楽しめます。すべて実践することはできなくても、今の私たちの暮らしに組み込んだり、少ないモノで、自然とともに暮らす生き方を想像することで、生きる力が育まれる1冊です。

アリシア・ベイ＝ローレル
1949年カリフォルニア生まれ。ハイスクール卒業後、全米をヒッチハイクして回り、西海岸に戻ってから2年間をヒッピー・コミューンで過ごす。そこでの体験を描いた『地球の上に生きる』を1970年にアメリカで出版。日本では2年後に翻訳出版され、以来多くの読者をもつスローライフのバイブルとして読み継がれている。