柳宗理も認めた、島根で100年以上続く
火造りの手打ち包丁
高橋鍛冶屋の包丁
響き渡る、真っ赤に熱した鉄の塊を「打つ」音。
高橋鍛冶屋は、島根県出雲市で100年以上前から4代続く鍛冶屋です。
「火造り」という昔ながらの製法で、いまでも一丁一丁鍛造火造りし、その昔から、クワや鎌、包丁など、農村の人々の生活に密着した道具を作り、その修理を担ってきました。
かつては日本各地に多くの野鍛治職人がいましたが、機械化や大量生産により、安価なものが多く手に入るようになった現代。高齢化とともに職人の数は激減しています。それは、ヤマタノオロチ伝説の元となる“たたら製鉄”で繁栄し、古代から鉄の生産と鉄器づくりが行われてきた出雲地方でも同様。近隣で1軒だけとなった鍛冶屋の火を守られているのが、高橋鍛冶屋4代目の高橋勉さんです。
自宅横にある工房で、昔ながらの技法で生み出される鉄器や刃物たち。中でも、鋼を軟鉄で挟んで接着し包丁にする”わかし”という作業は、出雲地方に古来から伝わる技法で、温度の見極めが難しく、かなり手間のかかる作業。島根県では高橋さんのみができる技法です。
昔ながらの鋼(はがね)の包丁なので、サビなど気をつけることやお手入れの手間もあります。
だけれども、丁寧な手仕事にこだわって生み出された刃物は、ひとつひとつ表情が異なり、量産品にはない味わいやぬくもりがあるのも事実。
代表的な小型万能包丁は、固い人参や大根もすっと気持ちよく切れ、小回りが利く万能選手。
野菜、肉、魚など何にでも便利に使えるので、研ぎ直しをしながら、末永く愛用してほしい一品です。
Photo:Haruki Anami
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