美しいかごのある暮らしを
児玉美重(竹工房東雲)
まるで芸術品のようにひと編みひと編み丁寧に、均等に編まれた竹かご。
そっと扱いたくなるほど繊細に見えますが、生活の中でかごとしての用途を満たす丈夫さも備えている、働きものでもあります。
九州で採れる質のいい真竹を選び、ひごに加工するところからご自身で行われる徹底ぶり。
虫やカビの原因になる油を抜き、手間をかけて白竹に加工し編んでいく。その全ての工程をおひとりで、時間をかけて作り上げる。
気の遠くなるような手しごとに思いを馳せると、大切に思う気持ちがひときわ深まります。
大分県の竹細工の伝統を受け継いだ技法に、児玉さんのまっすぐで、のびやかな感性が加わると「伝統」という堅苦しさを感じない不思議。
やさしく穏やかな空気をまとう暮らしの道具として、日々の生活に溶け込み心を落ち着かせてくれます。
じっくり眺めると、表や裏の表情の変化、四隅や細部、いたるところに職人の技が。
この技術があるからこそ、美しさと強さが共存する作品に仕上がるのだなと実感します。
竹かごは一生もの、何世代も受け継ぐことができる道具。
飴色に変わってゆく変化を、時の流れとともに愛でながらまた次の世代へと受け継いでゆく。
そんな想像を膨らませながら10年、20年と、身近な場所でともに過ごしていくことを考えると、そのつくり手にしか出せない魅力を持つものを選ぶことに、意味があると思います。
児玉美重(こだま みえ)/竹工房東雲
1976年 埼玉県さいたま市生まれ
2008年 大分県竹工芸訓練支援センター入所
2010年 大分県竹工芸訓練支援センター中堅技術者養成講座修了
2013年 竹アートコンペ「Emerging. Bamboo」入選
Photo:Haruki Anami
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