長くつきあえる”一生もの”を日常に

竹聲館

一本の竹を割って、はいで、面取りをして生み出すしなやかな竹ひご。
そのひごを交差させ、ひと目、ひと目、ていねいにくぐらせたり、 すくったり、そうやって編んでいくことで生まれる、美しい造形や編み目模様。

大分県由布市の湯布院町に工房を構える「竹聲館」では、他の竹とは艶やしなやかさが違うという九州産の真竹にこだわって、今の暮らしに寄りそうプロダクトを作り続けています。収穫する際、竹に傷がつかないよう、わざわざ山奥まで車の入る道を作り、大切に運び出された竹は、今ではとても希少なものだといいます。

その道40年以上の竹工芸家・髙見八州洋氏と、同じく30年の妻・綾子氏が二人三脚で生み出している盛りかごや花かご、バスケット…。
「もったいないと思わずに、ずっと戸棚にしまっておくのではなく、何でもいいから中に入れて、どうかいつもそばに置いていてほしい」そんな思いを込めて作品を作り続けているといいます。

使うたびにふえていく、手あかやキズのひとつひとつ、使う人の愛着や思い出が新しい価値を宿し、エイジングとともに、やがて飴色に育っていく竹の道具たち。
よそよそしく使うのではなく、毎日気軽に使っていくことで、”一生もの”どころか、次のそのまた次の世代へと受け継がれる大切な暮らしの友となってくれます。

ー作り手の高見綾子さんにお話を伺いました

九州産の真竹へのこだわり
「竹は昔からお付き合いのある福岡と日田の竹屋さんから仕入れています。通常は山で切った竹を運ぶ際、どうしても竹が傷ついてしまうことが多いのですが、お願いしている竹屋さんでは、切り出した竹を少しでも傷つけることなく運べるようにわざわざ山の奥の方までギリギリ軽トラ1台が通れるような道を作って作業されているんですよ。他の竹よりも、もちろん傷が少ないですし、何より艶が違います。」

製作時に心がけていること
「主人が師匠から受け継いだ”人の真似ではなく、オリジナルのものを作りなさい”という言葉を胸にこれまで製作を続けてきました。うちの商品の特徴というと、うちのひごは、少し厚めなんです。そのため、バスケットやかごにした時も、手ざわりがしっかりしている、そんな印象に仕上がっているかもしれません。」

お客さまへのメッセージ
「工房にあるお店にお客さまがいらした時にもよくお伝えするんですが、もったいないとおっしゃるお客さまが多いので”もったいないと思わずに、ずっと戸棚にしまっておくのではなく、生活の中に取り入れてください。何でもいいから飾ったりしまったりして、どうかいつもそばに置いていてほしい。”って。やはり外に出しておくだけでも、色合いは変化していきますしね。使っていただいてそういった変化も楽しんでいただきたいと思っているんです。」



竹聲館(ちくせいかん)
竹の道40年以上の竹工芸家・髙見八州洋氏と、同じく30年以上の妻・綾子氏が大分県由布市の湯布院町にて営む工房。伝統の技を大切に、今の暮らしにより添う竹の道具を作り続けています。

髙見 八州洋(たかみ やすひろ)
1957年 大分県生まれ
1978年 竹工芸家野々下一幸氏に師事
1981年 竹工芸家宮崎珠太朗氏に師事
1984年 独立
2000年 全国公募展南風の生活文化展出展 南の風大賞受賞
第51回 日本クラフト展読売新聞社賞受賞
2014年 湯布院に新店舗オープン

高見 綾子(たかみ あやこ)
1966年、日田市生まれ。結婚を機に、別府市・竹工芸訓練センターに通い、卒業後から現在に至るまで、夫とともに製作を続ける。