あたらしくて、楽しい。むずかしくないから、真似したい。《作ってみたくなるレシピ》

第2回
『春の養生保存食と活用レシピ』

旬の味覚を楽しんで体の毒を一掃。
さらに一週間のご飯を楽に!

冬から春へ。あたたかく日も長くなり、冬の朝はなかなかベッドから出られなかったのが自然とはやく目が覚めるようになったりと、からだの活動のスイッチが入ったような、ささやかな変化を感じる今日この頃。

そんな春は、冬の間に溜め込んだ疲れや不要なものを外に出す、デトックスにぴったりのタイミング!そう教えてくれたのは、料理家の和田麻紀子さん。

麻紀子さんと一緒にお届けする『作ってみたくなるレシピ』第2回では、解毒や免疫力アップ、疲労回復など、季節の変わり目を元気に過ごすために助けとなってくれる食材を取り入れながら、塩やオイルを使った保存食の作り方と、その保存食から展開するおかずのレシピを教えていただきます。

保存食はそのまま副菜にできるものや、ぱぱっとおかずにアレンジできて時短になったり、「作っておいてよかった!」と未来の自分を助けてくれる頼もしい存在。数日日持ちするので、1週間の献立もずいぶんと楽になるはずです。

毎日の食事でからだを健やかに保つ「食養生」という考え方があるように、私たちのからだは日々食べたもので作られています。おいしく食べて、からだも労る「養生保存食」を、ぜひ普段のごはんづくりに取り入れてみてくださいね。

Photo:Haruki Anami

第1回『ちょっとしたおもてなしにも、日常にも使える食卓』

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農家での仕事をさせてもらってそろそろ季節が一周。

ありがたいことにいつも収穫しすぎたものや傷物などてんこ盛りの野菜をいただく生活になりました。さて家に帰ってきてクタクタの体でとりあえずこの野菜たちを、という時に頭は働いてないけどとりあえず塩もみにして、手を動かしながら何にしようか考える、なんて日々を送っています。

そしてそれを発酵。世界各国で冷蔵庫のない時代に塩やオイルや身近なものを活用して工夫して生きてきたのかと思うとなんだかわくわくさせられます。春は新生活が始まり、寒暖差で体調を崩しやすく、冬に溜め込んだものを解毒するのにいい季節。体が疲れたなーと思った時に自然の恵みによる保存食で少し体を整えることができたらと思い、養生保存食、そんなテーマで今回は作らせていただくことにしました。

教えてくれる人:和田(鷲巣)麻紀子さん

神奈川県生まれ。3歳と7歳の姉妹の母。世界のお母さんの味と古くから伝わる保存食をテーマにフードユニットTORiを岡本雅恵と共に主宰、2021年まで東京で活動。2022年、土に近い生活を、と福岡県那珂川市に移住し、無農薬野菜を育てる畑で働きながら食まわりのことと改めて向き合う生活をしている。

インスタグラム

 

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旨味を熟成!

1.塩豚

効能:疲労回復

豚肉は「疲労回復ビタミン」とも呼ばれるビタミンB1を豊富に含んでいます。
ビタミンBは、糖質からエネルギーを作り出すために必要な栄養素。
エネルギー代謝を高め、疲労も溜まりにくくなります。

長持ち&旨味が熟成。
あるだけでごちそう感!

美味しそうな塊肉を買ってきてすぐに塩でまぶすだけ。冷蔵庫のあるだけで気持ちに余裕ができる存在。やっている人は日常のことだけど、やってみるととっても便利。大人数の家族でも、一人暮らしの方の肉の活用にもいい。人が来る時に大鍋で煮込むのもいいし、活用法は無限大。
今ひとつかもな豚肉なら砂糖を少し擦り込むと生まれ変わる。
刻んでチャーハンや豚キムチにするでもなんか料理上手になった?って言われるかもしれない。

「塩豚」の作り方

材料 豚バラ or 肩ロース 400g、塩 6g(豚肉の1.5%)

つくり方 塊肉の水気をペーパータオルで拭き取って全面に塩をまぶし、ぴったりラップをしてジッパーバックに入れ冷蔵保存。3日くらいすると塩が丸くなってきて旨味がアップ。5日目くらいが美味。それ以降は冷凍保存してストックに。

保存期間 冷蔵庫で5日間

アレンジ ポトフ、サムギョプサル、茹で豚など。ネギやニンニクとかぶるくらいの水と丸ごとの塩豚を30分くらい(さしてみて肉汁が透明になるまで)茹でて活用するのも茹で汁も美味しく肉は脂が落ちて良いことづくめ。

あると便利な調味料

2.発酵塩レモン

効能:疲労回復

レモンに含まれるクエン酸が疲れのもととなる乳酸を分解。
代謝を促し、ビタミンやミネラルの吸収も助けてくれます。
発酵させることで乳酸菌が増加し、腸内環境を整える作用も。

いつものおかずをレモン風味に!
モロッコの梅干し的存在、塩レモン。

少し前に日本でもなぜか流行った塩レモン。元々はモロッコの保存調味料。
モロッコはとても気持ちのよい国だった。そしてほんの少しのスパイスやさりげない味付けがとても優しく、タジン料理は日本の肉じゃがのようだった。塩レモンはモロッコの梅干しと勝手に思っている。お弁当の隅にちょこっと入れておくと、いつものご飯に意外な味の変化がついて幸せな気分に。

「発酵塩レモン」の作り方

材料 レモン(無農薬のものがよい)、塩 レモンの10%

つくり方 瓶をきれいに洗って、熱湯を沸かしたお鍋に瓶を入れて煮沸してよく乾かしておく。レモンを洗って水気をしっかり拭く。レモンを8つに切り、1-2mmのスライスにして、塩とレモンを入れて瓶に入れてよく振る。1日に1回振って1週間〜10日ほど常温に置いておく。乳化して白濁してきたら冷蔵庫で保管。

保存期間 冷蔵庫で6か月

アレンジ 混ぜご飯、ドレッシングなど。

塩レモンはくし切りにしてあるものが多い印象だけど、つける前に刻んでしまった方が便利。味変用に、小皿に載せて食卓に並べても。

 

「塩豚」と「発酵塩レモン」を使って...

“塩豚と春野菜のグリル”

材料

  • 塩豚 200g
  • アスパラ 1束
  • 季節の野菜 パプリカ、スナップエンドウ
  • 塩レモン 小さじ1くらい
  • 黒こしょう 少々
  • 塩 少々

つくり方

  1. アスパラは下の部分を手で折り、根元をピーラーで剥き、季節の野菜と共に食べやすい大きさにカットしておく。軽く水で洗って水気を拭き取った塩豚は1cmくらいの厚さにカットしておく。塩レモンは細かく刻んでおく。
  2. 塩豚を温めたフライパンに並べ、カリッとするまで焼く。ひっくり返して横にアスパラと季節の野菜と軽く塩を入れて一緒に焼く。焼き色がついたら塩レモンを入れ炒め合わせ、こしょうをひく。

春野菜は柔らかいので別茹でしなくてもオイルで炒めるだけで火が入る。茹でない方が栄養素を丸ごといただけてシャキッとした食感も楽しめる。

春野菜を数日楽しむ

3.菜の花のオイル蒸し

効能:解毒、免疫力アップ

肝臓の働きを助けて解毒を促す春のデトックス食材。
食物繊維を豊富に含み、腸内環境を整えます。
ビタミンCを豊富に含み、風邪予防にも。

季節の青菜をオイル蒸し。
そのまま副菜にも、お弁当にも。

菜の花の季節は今働いている農家さんのところでは寒くなり始めた11月ごろから2月頭まで俗にいう菜の花なばなを出荷していた。そして白菜の菜の花に変わっていろんな菜の花があると知る。
菜の花に関わらずどんな青菜でも塩茹でして何かと和えるか、オイル蒸しかとりあえずその二択。オイル蒸しは栄養が丸ごと摂れるのがいい。フライパンひとつでできてそのまま副菜としても使えるのでお弁当にも便利。

「菜の花(青菜)のオイル蒸し」の作り方

材料 菜の花(青菜) 1束、油 大さじ1、塩 小さじ1/2、水 大さじ3

つくり方 菜の花(青菜)は水にさらしてシャキッとさせ、根元を切り落とし、3等分くらいに切っておく。フライパンを加熱して油、菜の花と塩を入れ水をまわしかけ蓋をして3分ほど加熱。

保存期間 冷蔵庫で2日

アレンジ キンパ、パスタなど。油の種類は活用方法によって普段使っている油で。米や菜種油、太白ゴマ油など癖のないものが汎用性が高い。香りづけしたいならオリーブオイルでも。季節の青菜でも応用できる。

 

「菜の花のオイル蒸し」を使って...

“菜の花ごはん”

材料

  • ご飯 1膳
  • 菜の花オイル蒸し 適量

つくり方

炊いたご飯に刻んだ菜の花オイル蒸しを混ぜる。献立によっては塩で味を整える。刻んだ塩レモンを一緒に混ぜ込んでもおいしい。

お魚の栄養を閉じ込める

4.イワシのオイル煮

効能:血液サラサラ

イワシが持つ良質な油は、人間の体内では作ることができない必須脂肪酸。
血液の流れを改善し、生活習慣病の予防に効果的。
鉄分やビタミン、ミネラル、カルシウムも含み、栄養たっぷり。

オイルで煮ておけば
お魚の洋風レパートリーがぐっと広がる。

お魚ってめんどくさいイメージがあるということを以前社員食堂を作っていた方たちに聞いて、日常に摂らない人が多いのだと知る。
イワシは目があったら梅煮とかフライとか和食になりがち。だけどオイル煮にすると急に活用幅が広がる。
イワシをみるとポルトガルで食べた、ただの塩焼きを思い出す。レモンをキュッと絞って。どこかの国を思って食べるご飯は格別。
イワシは一時高級魚になった時期があった。うなぎも一生食べられないかもしれない。どんな食材もそうだけど、当たり前の日常に感謝と思う。

「イワシのオイル煮」の作り方

材料 真イワシ 3〜4匹、塩水(10%)、オイル、にんにく 1片、ローリエ 1枚、粒こしょう 5粒

つくり方 イワシは頭と内臓をとりよく洗ってから手開きにし、ヒレと尾、腹骨を取り除く。大きければ身を1/2にカットして10%の塩水に1時間浸しておく。水気をよく拭いて加熱可能な容器や深めのスキレットなどにイワシを入れ、ひたひたのオイルで30分極弱火で加熱。ふつふつしすぎないように。弱火のオーブントースターや100度に設定したオーブンなどに入れておくのも!

保存期間 冷蔵庫で1週間

アレンジ グラタン、パスタなど。

オイルは全量オリーブオイルで贅沢に作ってパスタに活用するもよし、10:1で普段のオイル:オリーブオイルでも。イワシの種類は真イワシが手に入りやすい。ウルメイワシはサイズが大きいので骨まで火が通らない可能性があるので加熱時間をのばして。カタクチイワシはサイズが小さいので加熱時間が短めに。

イワシの手開き。お腹側からぐっと手を入れて開く。

火にかけられるホーローのバットを使えばそのまま保存できて便利。

 

「イワシのオイル煮」を使って...

“イワシのオイル煮と新じゃがのホットサラダ”

材料

  • イワシのオイル煮 60gくらい
  • 新じゃが 中2個(200g)
  • ローズマリー
  • こしょう

つくり方

  1. 新じゃがはよく洗って皮ごと1cmの厚さにカットし水にさっとさらして水気を切っておく。
  2. フライパンにオイル煮のオイル(大さじ2)を入れてじゃがいもを並べてローズマリーをのせ、軽く塩こしょうをする。焼き目がつくまで3分ほど加熱し、ひっくり返したらオイルサーディンを上にのせ、蓋をしてじゃがいもに火が通るまで加熱。ざっくりほぐして皿に盛る。

じゃがいもを別茹でしないでフライパンで蒸し焼きに。春キャベツでも。お酒のあてにも。一緒に塩レモンを入れて蒸しても美味しい。

塩だけで数日日持ち

5.人参塩もみ

効能:免疫力アップ

にんじんに豊富に含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変化。
ビタミンAは皮膚や粘膜の成長を促し、免疫を高めます。
抗酸化作用により血管を健康に保ったり、美肌効果も。

サラダに入れたり、マリネにしたり
「ちょっと」が間に合う存在。

レシピってほどのことじゃないけれども、元気のある時にまとめて千切りにしてあるだけで、グリーンサラダにちょっと入れたり、全部まとめて甘酢につけたり、自分ありがとうと思うレシピというか行為。そして私は人参が好きだけど家族はさほど好きでない。自分のために使うから尚更。
さらに刻んでチャーハンなどに入れて子供にも。友人の子供がキャロットラペが好物と言っていた話を聞いて、うらやましく思ったのは余談。

「人参塩もみ」の作り方

材料 人参 200g、塩 4つまみ

つくり方 人参を斜め薄切りにして端から千切りにしてボールに入れ塩もみする。5分ほど置いて軽くぎゅっとさらに揉み込んで水気が出たら絞って冷蔵保存。

保存期間 冷蔵庫で4日間

アレンジ オムレツ、南蛮漬け、ナムル(キンパ)、ラペ(サンドイッチ)

 

「人参塩もみ」を使って...

“人参しりしり”

材料

  • 人参塩もみ 100g
  • 卵 1個
  • 油(あれば太白ごま油) 大さじ1
  • 酒 大さじ1/2

つくり方

フライパンに油をしいて、人参塩もみを入れて油が馴染んだら酒を入れて炒める。溶き卵を回し入れて混ぜ、火が通ったら完成。

ツナと醤油、たらこ、ナンプラー、桜えび、鰹節、ごま、沖縄っぽくスパム!いろんなものを入れてアレンジ可能。何か塩味を入れる想定なら塩もみの塩を少し減らすといい。しりしりは沖縄で千切り。しりしり〜と伸ばすらしい。千切りにするおろし器でしりしりって音がする!?

塩とキャベツだけの乳酸発酵

6.乳酸キャベツ

効能:整腸作用、精力剤

キャベツの表面の乳酸菌が発酵の過程で増加。
植物性の乳酸菌とたっぷりの食物繊維が腸内環境を整えます。

和洋中なんでも活用OK!
乳酸発酵の力で、
からだにもいいことたくさん

ローリエやキャラウェイシード、唐辛子を入れてザワークラウトを作っていたのですが、洋の献立にしか活用できず使いきれず。シンプルに塩だけにしてみると、餃子のタネを作る時、野菜切るのが面倒だけどスープが飲みたい時、活用方法に幅が出て消費できるサイクルができました。
白菜漬けや各地方にあるお漬物もこの乳酸発酵の力。昔の人の知恵をほんの少量でももちろんたくさん作るでも日常に取り込むと、体に嬉しいことがたくさん。朝ごはんやお弁当の副菜にも!

「乳酸キャベツ」の作り方

材料 キャベツ、塩 キャベツの2%

つくり方 琺瑯やガラス製の保存する容器を沸騰したお湯をかけて殺菌しておく。キャベツは千切りにして洗ってよく水気を切る。塩を揉み込んで保存容器に入れて落としラップをして重石をして常温で発酵させる。出てきた水分で浸るようにしておく。空気に触れてしまうと黒カビの原因になるので注意。
酸味のある香りがしてきたら出来上がっている証拠。味見をしてみて酸味が出ていたら冷蔵庫へ。寒い季節は1週間、暖かければ3〜4日で出来上がる。

保存期間 冷蔵庫で1か月

アレンジ ポテトサラダ、パスタ

キャベツをラップで覆った上に、水を入れた小瓶を乗せれば重しになる。

紫キャベツでも作れます。

 

「乳酸キャベツ」を使って...

“ソーセージと乳酸キャベツのスープ”

材料

  • 乳酸キャベツ 60g
  • ソーセージ 4本
  • 玉ねぎ 1/4個
  • えのき 1/3束
  • セロリ 10cm
  • にんにく(みじん) 1/2片
  • 冷蔵庫のあまり野菜
  • ローリエ 1枚
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 水(あれば昆布を1時間〜1晩つけておいたもの) 500ml

つくり方

鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ炒め、香りが出たら玉ねぎ、セロリ、えのきを入れて炒める。ソーセージ、乳酸キャベツ、水、ローリエを入れ、沸騰したら弱火にして15分ほど煮る。塩こしょうで味を整える。

コンソメキューブに頼らなくてもセロリとえのきを入れたら野菜の旨味が引き立って滋味深いスープになる。乳酸キャベツのほんのり酸味が暖かくなってきた季節に沁みる。カレー粉やトマトを足しても。コンソメを使うならソーセージと乳酸キャベツのみで包丁まな板要らず。

 

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