植物の力をかりて
“本来のわたし”を思い出す
mahina pharmacy
植物の力を借りて、
セルフメンテナンス
東京・下北沢の小さな路地にある『mahina pharmacy』は、ハワイに伝わるボディーワーク、ロミロミのセラピスト、中山晶子さんが主宰しています。
植物療法の考え方を取り入れ、心と体の揺らぎを整えるセルフメンテナンスのサポートを受けられる場として、今や知る人ぞ知る存在。自然と繋がりながら、自分の心と体を見つめ直したいという女性たちの間で、絶大な信頼を集めています。
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もともとは、ハーブに代表される植物療法や、古来から伝わる心と体にまつわる智恵について、情報交換をするウェブサイトとしてスタート。2011年、東日本大震災後から数ヶ月後の、新月の日のことでした。
「当時は植物療法のことも、まだあまり知られていませんでしたし、そういった情報に、普通にお勤めしている女性が簡単にアクセスできる時代ではありませんでした」
自身も会社員時代に体調を崩した経験があり、すでにロミロミのセラピストとして活躍していた中山さん。施術に訪れるクライアントさんの姿から、心身の不調に悩む女性たちが多いことは肌みで感じていたそう。そこで「心と体の悩みや体験をシェアできる場があったら、1人で抱え込まなくて済むのでは?」と、あるインスピレーションを得たことをきっかけに、ウェブサイトを開設。そこで、自身の経験と学び、植物療法をはじめとする古来の智恵について文章を綴り始めました。
「初めのうちはあまりお知らせもせず、新月、満月の日にひっそり更新していたのですが、だんだん『どんなものを使ったらいいですか?』とか『こんなことで悩んでいて』というお問い合わせや、具体的なご相談が増えてきて」
それに応える形で、ハーブや精油、フラワーレメディなどの販売や、カウンセリング的なことが始まり、そうこうするうちに、今度は植物についてもっと知りたい、ハーブやレメディを自分でも使いこなせるようになりたい、という声が。そこでワークショップが始まることになり、現在のmahina pharmacyの原型ができあがっていったのです。
最初のステップ
体のクセを知る
2015年にスタートした現在の店舗では、さまざまなワークショップが開催されているほか、中山さんのロミロミのワークを受けることも。併設する小さなショップには、クリームやコーディアルなどのオリジナル製品を含む、中山さん自身が使ってこれはという太鼓判を押したレメディ、チンキなどが並んでいます。
「植物にはたくさんの効用がありますし、それを取り入れるためのプロダクトもたくさんあります。その中で、症状に合うものを見つけていくには、自分の体の持っている癖と、一つずつ向き合っていくことが、最初のステップです」
「例えば、夏の暑い時期になると、神経的にまいりやすいとか、ホルモンが乱れている感じが体の揺らぎでわかるとか、胃腸が虚弱になりやすいとか。弱いところに症状は出やすいので、体の様子と向き合って、どんな症状があるのかを読み取って、一つ一つの症状に対して働きかけていく。セルフメンテナンスはそこから始まっていくと思います」
コーディアルを作ろうと思ったきっかけ
養命酒のように、冷蔵庫に1本
「女性には、繊細な心と体の状態がありますよね。植物の中でもハーブは神経を鎮めたり、女性特有の不調や揺らぎをバランスをとってくれたりするものが多くて、日常に取り入れられたらすごくいいなと思っていました。皆さんが仕事をして、子育てをして、忙しい中で、簡単においしく親しめるハーブの提供の仕方ってないのかなと思ったときに、思いついたのがコーディアルでした」
「ラインアップは『太陽とゆずのコーディアル』『月とカモミールのコーディアル』が定番。夏と冬に、その年限定のコーディアルを出しています。夏だったらミント、冬だったらリンゴとか。その時期、お店にいらっしゃる皆さんの様子を見ていると、なんとなく共通して悩んでいる部分や、心と体のバランスが取りにくいんだなという部分がわかるんですね。それを踏まえて『こういうタイプがあったらいいのでは?』というものを毎回作っています」
「今回の『ジンジャーミントコーディアル』は、夏は暑さで疲労してしんどいという方が多いから、暑気払いができるミントと、それにジンジャーも加えて、冷やしすぎず、保湿もできるというものになっています。ミントは夏のコーディアルとしては、去年から作り出したものですが、今年の夏はコロナ禍もあり、より強いダメージが考えられたので、去年よりミントを増量しました」
「養命酒じゃないですけれど、冷蔵庫に1本、入れておいて、『疲れたな』『冷えたな』『なんとなく元気が出ないな』というときに、お湯などで割って飲んでもらえたら。例えば、急に心がザワザワしたり、人の言っていることを悪くとらえてしまったり、っていうことないですか? そういうときは知らないうちに疲労が溜まっていたり、体のめぐりが下がって、エネルギーの循環が滞っていたりするもの。それが原因で元気が出づらくなっているので、温めたり、体のめぐりを上げる手助けとして、コーディアルを取り入れてみてください」
満月のひかりのみつろうクリーム
香りをリードに、呼吸を取り戻す
「生活している中で、外側から受けるストレスの影響が強いと、規則的な自然な呼吸が止まってしまっていることがあるのに、覚えがありませんか? そういうときは、思考が忙しく動いて、考えることが優位になっています。反対に、森の中でリラックスしているときには、どちらかというと、思考は止まっているでしょう?」
「現代の暮らしの中では、どうしても思考の方が強くなりがち。いつも携帯を持っていて、常に周りの人の影響を受ける毎日なので。でも、そういう中でも女性は、ちょっと席を外してお化粧直しをしたりして、自分なりのワンクッションを入れているものなんですよね。そういうときにお化粧直しだけではもったいないから、呼吸をふーっと回復させるようなきっかけがあるようにと思ってつくったのが、新月と満月のクリームの始まりです」
「香りがあると、呼吸を意識しやすくなります。指先に取ったら、まず香りを吸い込んで、呼吸に香りを入れて、内側の緊張をゆるめていく。それをした後に、気になるところに使ってください。外側のケアも大事だけれど、内側にためこんでいるものや、緊張しているものに対して、自分で対応して、回復させていく。小さいことだけれど、例えばトイレに立つたび3、4回、それをするだけで、1日の疲れが変わってきますよ」
「呼吸をしっかり取り戻すと、『あ、私、今ここにいる』という感覚を取り戻せる感覚があると思います。人は常に自分と他者、内と外の間を行き来しているものですが、外から受ける影響の方が強いとき、自分の場所を自分で回復させる術を身につける。呼吸を取り戻すことは、その一つのきっかけになるんじゃないかなと感じています」
ハーブティ
新鮮で、おいしい。
植物本来のエネルギーを伝えるものだけ。
「ハーブティについては、おいしさ、新鮮さ、色み、光合成した植物のエネルギー、そういったシンプルなハーブの良さをお伝えすることに徹しています。定番はレモンバーベナ、カモミール、ミント。ミントに関しては、今回は3種のミントのブレンドになっています」
「というのも、ハーブティは繊細で、品質を保つのが難しい。光と湿度に弱いので、一旦、切ってドライにすると、自然光だけでどんどん酸化してしまい、香りや成分が失われてしまいます。そこで、酸化を防ぐために、遮光性のパッケージと、蕾や葉っぱが丸ごとのホールの状態にこだわりました。淹れる前には、ハーブをよく揉んで。それからお湯を入れてください。ちょっと手間はかかるのですが、ハーブの良いところの1つは香り。最初に揉んだときの香り、お茶にして飲むときの香り、二段階で楽しんでいただけたらと思います」
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mahina pharmacy
東京・下北沢にあるロミロミのセラピスト、中川晶子さんが主宰するショップ兼スペース。ハーブ製品、フラワーレメディーなどの販売のほか、ワークショップを開催。ロミロミの施術も受けられる。
写真:吉森慎之介
文:松本あかね
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