わたしは思い出す I remember
日々を綴る尊さを実感する、10年の子育てと震災の記録
2010年6月11日、仙台で初めての出産を経験したかおりさん。どれくらい授乳しオムツ替えをしたか‥その日から育児日記をつけていく。
そして赤ちゃんが9ヶ月を迎えた日に、あの大地震が起こる。幼い子を抱えて必死で逃げたこと、停電が続いて不便なこと、夫が夜勤で不在の時の不安でたまらない気持ち。それと並行して少しずつ育っていく娘。日常を綴る育児日記は、そのまま震災後を生きる人の記録となっていきます。
そこには毎日のありのままが記されていて、だからこそあの震災が現実のものであり、日常の延長であったことがリアルに感じます。
量販店におむつを買いに行ったり離乳食を作ったりの子育ての詳細や、娘の入園後の出来事、2度目の出産など、淡々と綴られる日本中に溢れているであろう日常と家族の時間。慌ただしく過ぎていく毎日の中では出来事もその時の気持ちもすぐに忘れてしまう。だからこそ、何気ない1日とその時の感情を振り返ることのできる日記というものの素晴らしさを再発見させてくれます。
一歩一歩ゆっくり進んでいく中でのゆっくり、でも着実にある変化。毎日がグラデーションのように移っていく様を、1人の女性の日常を通して一緒に歩むような気持ちに。
ひとりひとりに毎日があり、そのひとりひとりに歴史がある。そんな当たり前のことを実感し、静かに感動が胸を満たしていく、壮大であり身近な1冊です。
わたしは思い出す I remember
企画:AHA!
発行元:remo
ページ数:832ページ
仕様:文庫変・並製
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